隣り合わせた2軒の家の庭に、それぞれ大きな木が立っていました。
どちらの木も、栄養が行き渡ってしっかりと根が張り、空に伸びた大きな枝についた葉は青々として、美しい花が咲き、おいしい実がついています。
ところが、このところ続いた大雨や、最近周りにやってきた怖い虫たちのせいで、どちらの木も、葉っぱが傷んで枝が病気になり、花は枯れて実も落ちてしまいました。
さてこれを見たダブくんはこのとき、傷んだ葉っぱに着目し、薬を使って虫を退治することにしました。
おかげでひとまず、虫たちはどこかにいなくなりましたが、薬が乾いたらまた怖い虫たちが戻ってくるかもしれないと、いつもキョロキョロして落ち着きません。
そしてたくさん薬を使ったおかげで、木は少し細くなり、力も弱くなりました。
一方で、木の根っこに着目し、土に栄養を与えたのはクララさんです。
地中の栄養によって新しく強い枝が増え、かわいらしい花のつぼみがつきました。
もうこれで、少しくらい虫たちが寄ってきても病気になることはありません。
おかげで木は元気いっぱい。見るからにツヤツヤして喜んでいます。
誕生して60年経った家がありました。
古いけど木のぬくもりが温かく、みんなが気持ちよく暮らせる家です。
ところが近頃、リビングの扉を開けるたびにギーギーと音を立て、閉めるときにはガタガタといってスムースに動きません。
そこで二人の大工さんに相談してみました。
「扉を削れば、かんたんに開け閉めができるさ。」とダブくん。
「少し時間はかかるけど、家の傾きを直して元のように動くようにしましょう。」とクララさん。
さあ、どちらの大工さんにお願いしましょうか。
かんたんに手早く扉を削る?家全体を見直して傾きを正す?
そうそう、この家は他にもお部屋があって、同じような扉があと5つもあるんですよね。
目の前に現れた症状を抑えたり、反対の動きができるように薬を与え、骨組みを削るのがダブくんが行っている「対症療法」。
なぜそのような症状が出ているのかを考え、根っこから元気を取り戻し、家の傾きを正すのがクララさんの「根本改善」です。
今あるつらい症状をひとまず抑えて「楽になる」、それもひとつの選択です。
お医者さんは長い期間研究を重ね、副作用が起こらないような症状に合った薬を処方して、痛みやつらさを取り除いてくれます。
整体やマッサージは筋肉にアプローチすることで血流が良くなり、体力がある人はそれに対する適応が働いて一時的に楽になり、よく眠れるようになります。
対症療法を上手に使い、生活しやすくすることもとても大事です。
ただそれを続けることは、傷んだ葉っぱに着目していつまでも薬を与え続け、ドアが軋むたびに木を削り続けることなりかねません。
「治る」と「楽になる」は別ものです。
体の一部だけを診て病名をつける対症療法をいつまでも続けていても改善に至ることはないのです。
こころとからだのアトリエCAMELは、乾いた土に水や栄養を与え、家の傾きを元に戻すよう「根本改善」と「再発防止」を目的に、患者様の「治る力」が発揮できるよう一緒に施術を進めてまいります。